福島第一原発の事故以降、多くの方々が「脱原発」を考えざるを得なくなっている。今回の原発事故は、1号機から4号機までがメルトダウンするというもので、実際には30km圏内に住むことが出来なくなったチェルノブイリ事故よりも深刻な事故となった。しかし、民間事故調で明らかになったように、使用済み核燃料プールが崩壊すれば、少なくとも170km圏内、最大で250km圏内が避難地域になったという。それは東北地方の青森を除くすべての県庁所在地と東京をも含むもので、パニックを恐れた国によって隠された。
しかし、現在の爆発を起こした原発建屋の状況を見れば、使用済み核燃料プールが無事であることは奇跡的な状況で、4号機のプールなどは、写真を見ればいまだにその危険は去っていないように見える。たった1ヶ所の発電所で、場合によっては国民の半分以上が避難しなければならないような設備を、今後もこのままにしておくことなどできるわけがない。私たちは真剣に脱原発を考えなければならない。
しかし、それは言うに易く、行うに難しである。これまで、日本の産業や個々人の生活は、好むと好まざるとに関わらず原発に依存していた。この原発事故を契機に、風力発電や太陽光発電などの再生可能エネルギーについて取りざたされている。しかし現実的には、それらはまだまだ未解決な問題があり、短期的にどうにかなるものではない。当面、私たちが考えなければならないことは、私たちの生活水準を幾分か下げてでも、エネルギーの消費を抑えることだと思う。
かつて、オイルショックのときには、テレビの深夜放送などが休止した。「喉元過ぎれば熱さわすれる」で、その後オイルショックが解消すると、いつの間にかもとに戻り、現在はあの時代よりもはるかにエネルギーをジャブジャブ使っている。街中を歩けば、無駄に電気を消費している自動販売機が林立し、夜になればパチンコ屋の過剰な電飾がギラギラと夜空を気持ち悪い色で染めている。さらには、電力を「浪費」させたい電力会社に乗せられ、やれオール電化住宅だ、電気自動車だと、それらがあたかも「エコ」であるかのような嘘がはびこっている。
原発事故のあった当初、「オール電化住宅」のロゴを入れた東電の営業車が数箇所で汚損され、東電は「オール電化住宅」のロゴを営業車から外したと聞いた。しかし、最近また各所でそのPRを見るようになった。東京電力も、いまだにそのPRに余念がないようだ。
http://www.tepco.co.jp/e-rates/individual/menu/home/home01-j.html
要するに、夜間電力を使って蓄熱し、家庭で使う全てのエネルギーを「クリーン」な電気にしようということだ。
しかし、これでエネルギーの消費は少なくなるのかと云うと、当然そんなことはない。むしろ電力の大量消費を前提にしており、その電気の多くは、これまで揚水発電のための揚水などにまわされていた夜間電力を多く使用し、その分原発などへの依存は大きくなる。このオール電化住宅を、東電や住宅会社は、リッチな医者や学者、文化人などの住宅新築に「エコ」であると売ってきた。
また、最近「エコ」で流行の兆しがある「電気自動車」も同様で、夜間電力を大量に使い、もし巷に電気自動車があふれたら、原発を何基つくっても追いつかないことになるだろう。これらの「デマ」に、医者や文化人など、リッチで知的水準もそれなりに高いだろうと思われる方々が騙されている。
そんなこんなを思っているうちに、「脱原発」を盛んに口にし、活動している坂本龍一氏が、おどろくことに、この電気自動車のCMに出ていた。
http://www.youtube.com/watch?v=bd1LxDGu8Z8
あきれかえるばかりだが、彼らにとって、オール電化住宅や電気自動車とともに、「脱原発」も、ファッションの一つなのかもしれない。このような方々は、原子力が「二酸化炭素を出さないクリーンなエネルギー」と言っていた原子力専門家と私には同様に見えてならない。




